──窯場を見せていただいてもいいですか。

(窯場に移動)

ここに煤がついてるでしょ。これ薪を入れる焚き口なんですよ。電気で温度を上げて、赤松の薪の炎で還元をかけるんです。親父の代から薪でやっていたから、僕もそうしているんです。


 

──薪のほうがいいですか。

染付とか、素地が青白く、あたりが柔らかい質感にあがるからね。本窯の釉薬も市販のものではなくて、自分で調合してるんですよ。

──そこまでやってらっしゃるんですね。

全工程ですよ。だから粘土の塊を買って、そこからはすべて創作に入っていきます。素地、絵具、釉薬、吸坂釉他、みんな作っています。なぜかっていうと、そこまでしないと自分のしたことにならないですよ。どこか一部を借りてきてするのは好きではないんで、どうせやるならそこまでやらないと意味がないんですよ。整うまでには何年もかかりましたがね。

──九谷焼の文化を残したいっていう思いもあるんですか。

まあ、ありますね。それはすごくあります。仕事柄よく地方に行くことが多いんですが、そこにも焼きものがあるじゃないですか、他の県に行くことによって、よけいに九谷焼の存在を意識するんです。
古九谷は芸術的な格調が高くて憧れますし、学ぶことが多い焼きものですし、古九谷の文化を受け継ぎ、現代の九谷焼をと思い、日々葛藤し、精進しています。
最近、日本の古き良き文化が一部衰退しようとしていますが、なんとか文化の継承の一員、後世に伝えていく者の一端でありたいと思っているんです。

《好きな加賀の場所》

気分転換によく行くところは山中の鶴仙渓。そこへは遊歩道を散歩しに行きます。
それと、自然の残された鴨池あたりです。

(2011年3月4日)


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