──火の回りで色見とか変わってくると思うんですけど、そういうのも考えるんですか。

それに一番、時間かけるんだよね。窯詰めに。穴窯は大小組み合わせて入れないと、炎がうまく回んないから、必然的に甕から小物から、一通り全部入れるんだけどね。小さいものだけだと炎が詰まっちゃうから。炎の流れをつくらないと。
窯焚きはある程度、神経は使うけども、窯詰めのほうが、やっぱり…。どっちも難しいけど。窯詰めは徹底的に計算するね。窯焚きは計算しきんないからね。途中で変わっちゃうから。

──あんな大きい甕も窯に入るんですか。

これは今までで一番でかいやつかもね。これだと窯詰めが大変だよね。ひとりで持ってくから。届かないから、手ぬぐい使って。口持つと割れちゃうし。
下にくっつかないように、団子の小さいのみたいなのをやらないといけないから。一回横に倒して、平行に置かないといけない。

窯詰めのときは、ちゃんと置く前に一回並べるんだよね。だいだいそこにこれが来るっていうのを印しておかないと、直せないから。適当に置いちゃうと。そこにパッと置かないといけないから、結構大変。

──穴窯はあんまり温度は高くないんですか。

全体に穴窯は高い。磁器よりずっと高い。磁器が高いっていうイメージあるけど、磁器はいま九谷でも1280度以上はなかなか…。これだと1350度くらい。
耐火度も土もののほうが強いんだよね。ただ、(磁器は)かちっと焼き締めるから高いイメージがあるけど。

──焚くのはお一人でやるんですか。

途中まではまあ、夫婦とひとりぐらい。最後は4人。ふたりずつ組んで。でも完全に交代できるわけじゃないから。一応まあ、ふたりふたりに分けるけども。

──日数は?

穴窯は6昼夜。そんな長い時間は寝れないよね。(冷ますのは)大体同じ日数だね。

──年に何回ですか。

これは基本的に年1回。だいたい4ヶ月くらいかかる、作るのに。あとは薪を準備したり土を準備したり。

──何月何日というのは決まってるんですか。

そんなのは決まってない。だいたい、季節で決めるから。
今までは穴窯は12月に焚いてた。登り窯は夫婦でも焚けるけど、穴窯は人頼むからね。前もって、もう2ヶ月分くらい前に言っておかないと、全員そろえるの大変だから。

──冬のほうがいいっていうのはどうしてですか。

まあ、暑くないっていうのが(笑)。あと、外気が冷たいほうが引きがいい。焚きやすい。
フェーン現象とかになると、やっぱり窯の調子が。

──計算通りいった作品と、あ、こんなんなっちゃったっていう作品と、どちらがお好きですか。

まず計算通りいかないもん(笑)。大概、期待を裏切られるから。

──いわゆる失敗というのは、どういうのを言うんですか。

まあ、割れたり、くっついたりっていう…。割れても、良いのもあるんだけどね。どうしようもなく割れてしまったりくっついたりっていうのと、それと、焼きが中途半端だったりね。

──中途半端だともろいんですか。

いや、もろいとかじゃなくて、ま、気に入らないっていうのもあるんだよね。
それはまあ、割らないけど。結果的に割るのも多いんだけど。気に入らないからっていう気持ちでは割らない。それで割ってしまうと、悪いものに目をふせちゃうから。
やっぱりそこからもね、何か、ヒントじゃないけど、学ぶものがあるよね。失敗でも何でも、気に入らなくても。

──割ったものは、どこかその辺の穴にいっぱい埋まってるんですか。

いや、道に(笑)。そこの裏の物原ってとこに、ある程度愛着があるものは全部捨ててる。あとは道路の穴開いたとこ。いや、それほど出るんだよね、失敗作が。


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